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ある夜のループ。


 ある所に、男の人がいました。まあどうってこともない、普通の人です。とりあえず彼としておきましょう。その彼は人里から少し離れた、一軒家に住んでいました。変わっているのは、隣にお墓があることぐらい。そのおかげで彼は家を安く買えたのですが、これは別の話。
 さて、ある新月の夜、彼の家でインターホンが鳴りました。男性が玄関のドアを開けると、そこには血まみれになった女の人が立っているんです。驚いて彼はドアを閉めようと しましたが、彼女が「私に、食べ物をちょうだい……」と言っているのを聞いてそれは大変だとキッチンに走りました。棚から缶詰を取り出し持っていこうとしましたが、缶切り を忘れたことに気づき取りに行ったりしている間に、女の人は血を吐いて倒れてしまっています。急いで救急車を呼びましたが、その女の人は死んでしまいました。
 結局女の人の身元は判らず、遺体は隣にあるお墓に埋められました。地域のしきたりで、土葬です。彼は、全てのことが済んだと思っていました。
 しかし、また彼女は来たのです。ドアを開けてすぐ、彼は気づきました。慌ててドアを閉め「帰れ!」と叫びますが、彼女は「私に、水をちょうだい……」と言うのみです。そ のうち、また血を吐いて死んでしまいました。さすがに怖くなったので、今度は街の反対側にあるお墓に埋めてもらうことにしました。
 それから一週間、例の彼女の訪問はなく、彼は安堵感に包まれていました。しかし事態がそんなに軽く済む訳はないのです。そして、彼の家のインターホンが鳴ります。彼は当 然、ドアを開けました。そしてそこにいたのは、あの、血まみれの女の人でした。
「私に、私にあなたの生きた身体を、ちょうだい……」
 ここまで来れば、それは恐怖以外何も湧いてきません。急いでドアを閉め、鍵をかけ、奥へと逃げます。しかし彼女は、まるで鍵がかかっていないかのようにあっさりドアを開 け、家へと入ってきました。追い込まれた状況で彼は窓ガラスを割り庭へ、外へと逃げます。しかし外へ出ると彼女の追いかけるスピードはまるで矢のようでした。彼は捕まり、 そして……
 気がつくと彼は、彼女になっていました。無論血まみれの、瀕死の状態です。ここで止めれば連鎖は断ち切られたのですが、やっぱり人間というのは生に固執するもの。次なる 標的を求め歩き始めました。
 あ、最初の女の人の中身が女とは、限りませんよ?

あとがき


(C)Echigawa karasu 2010