桜が一本 病院の中に しかし 春なのに
さかない 桜 さけない、サクラ さいてよ!サクラ さいたら?サクラ さくのか!?サクラ さきなさい。サクラ
みんながそれぞれ 違うことばをかける 毎年、毎年、 声をかけられる、桜 私も声をかけた ──よかったら咲いて、桜。 私はあと数日で ここから消えてしまうの。 最後一度だけでも あなたのすがたを見ておきたいの──
真実だった。
翌日桜に 花が三つついていた
──人々はこのサクラを 最後のサクラと呼ぶ──
(C)Echigawa karasu 2007